誕生の地
冬、雪と氷に覆われた地表。春を待つ雪解けの頃。水温6〜7℃ぐらいの暖かい水の下、紅鮭の卵は孵化をする。彼等の生まれる場所は、カナダ、アラスカ、カムチャッカという、人間がほとんど居住しない大自然の中、渓流の源・森林の奥深くの湖沼にある。なぜなら、天然の紅鮭の稚魚は 水の温度が低すぎず、澄みきった涌き水のあるところでなければ生きて行けないのだ。
紅鮭が豊富に獲れる地域は、多くの地域が広大な国立自然公園となり、国として 自然を保護しており、環境の汚染から守られた地域となっている。
旅立ちの時へ
春。地表では雪解けが始まり、水ぬるむ頃、お腹の袋から栄養を摂りながら生まれた石の間で 過ごしていた稚魚達が、小さいながらすでに一人前の文様を身につけて泳ぎ始める。 綺麗な水と、豊かな自然の中で、様々な水生昆虫等の餌も豊富にある。 特に紅鮭は、プランクトンを主な餌として食べて成長していくのだ。 こうして仲間と群れをつくりながら数年を過ごし、天敵から身を守ることのできたもの達は、 かつて、親達がそうしたように、海へと旅立つ準備を始める。