様々な動物や他の魚達の攻撃から逃れて河から無事に海に出ることのできた鮭の子供達は、ある日突然群れをなして海に現れ、徐々にその数を増やしながら海水での 生活の最初を海岸沿いで数ヶ月過ごす。
そして彼らは海へ、故郷の河を離れて広大な北太平洋へと 旅立っていくのだ。だが、河での彼らと違って海での生活がどのようなものなのか 様々な調査が行われているにもかかわらず、実はほとんどわかっていない。
最近になってわかったことは、彼らは 出身の流域や地域別に住み分けているらしいということだけだ。自然の生物である紅鮭を人間が養殖しようとしても 容易にはできない理由がここにもあるのだろう。

故郷への帰還

遠い海から、彼らは故郷の河に戻る。どうやって自分の来た場所に行き着けるのか 、すでに多くの研究者が謎にいどんでいるが、これもはっきりとは解っていない。 紅鮭は広大な海での数年間の後に、多くの河川、その支流の中から、正確に自分の生まれた場所を見つけて 遡上を開始する。匂いなのか、方向なのか。
ただ、チリでの養殖の初期に、チリから放流した鮭がチリに戻ってこなかったことから 、何か遺伝子に刷り込まれた方向感覚から自分の祖先の河に戻っていくのではないか と言われている。不思議なことに、放流された場所ではなく、祖先、親が生まれた場所に、自分も帰っていくのだ。